名称の由来となった 'ビオトープ(biotop)' は、ドイツ語で「植生の茂み」を意味します。
自然の植生を増やし、そこに虫や小動物を呼びこんで、自然の回復を助けるビオトープは、
戦後、「軌跡の復興」といわれた経済発展をとげたドイツが、
豊かな自然を荒廃させてしまった反省からはじめたエコロジー運動の一環でした。
しかも、ビオトープの源泉には、彼らが民族的に持っている18世紀以来の
自然を芸術、霊感の源泉として讃えてきたドイツ・ロマン派の伝統が脈々と息づき、
失われた自然と自らの文化的肉体を人間の手で取り戻そうという文化復興の意思がひそんでいます。
自然が死すれば、また文化も死する。
それはまた、人間そのものの死を意味する。
自然は、私たち自身の、もうひとつの肉体だから。
アート・ビオトープは、その背景をしっかりと受け継ぎ、
「来るべきアートのための苗床」として構想され、未来にアートが必要であると切望する人々が集い、
自然の霊感を受ける種子の温床となってほしいという願いを込めて誕生しました。
古代ギリシャにおいて、アルスとは「アートとしての手」であり、
歌い、踊り、奏で、詠じる、すべての身体芸術の源を意味しました。
ここ21世紀の日本で、私たちはアルス(手)を助けるもうひとつのアルス(道具立て)、
アート・ビオトープを来るべきものの小さな一歩としてスタートさせました。
「アート・ビオトープ」という場がさまざまな意味でこれからの美術や、
大きくいえば日本の再生への半歩にでもなればと思います。
