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「超えてゆく人/掛井五郎展 変成作用Ⅱ」展 開催中

思いがけないご縁で、彫刻家の掛井五郎さんの展覧会を開催するはこびとなりました。
九十歳の掛井さんは、マエストロのメチエを手にしながらも、それを運動の制約とはしないで、さらに新しいことに挑戦し続ける稀有の作家です。ブロンズや鉄という不服従の素材を用いながら、しなやかな可塑性を造形する秘法は、ほかに例を見ないものです。「生まれながらの描線の確かさ、大人でありながら子供の描線を有していること」と評された天性の資質が、老いることのない創造力の源泉となっているのだと思います。
厖大な作品群は、生きることの讃歌でありながら、死者を哀悼するエレジーであり、権力というものへのプロテストでもあるという、重層的なテクストとして解読できます。
なににも囚われることのない奔放なまでの変貌ぶりは、いつも美術界を震撼させてきました。その果敢さ、その清冽なポエジー、その実存的な哲学、その造形の自由・・・、コロナ禍で打ちひしがれた心を、根底から揺さぶり、奮い立たせてくれることを願って企画した展覧会です。
作品は、敷地内の戸外、レストランμのほか、スイートヴィラ客室内の展示空間に陳列されています。

【掛井五郎 プロフィール】
1930年静岡生まれ。東京芸術大学彫刻専攻科卒。新制作協会を中心に活動して、1982年に高村光太郎賞、92年に中原悌二郎賞受賞などを受賞しました。驚くべき創造力で、素材も、モチーフも、テーマも、自由に超えてゆく作品を生み出して、今もその手は止まりません。

【主な展示作品】
レストランμ入口:「ここからサント・ヴィクトワール山が見える」(1998年・第62回新制作展出展作)
レジデンス中庭(エントランス前):「アジアの女」(1978年・第42回新制作展出展作)
レジデンス宿泊棟:「涙」(1990年)
レストランμ店内:「シェフ」(2001年)

【協力】
一般財団法人掛井五郎財団

アートビオトープ那須のオンラインショップ「掛井五郎コレクション」ページでは、身につける彫刻作品ともいわれる掛井五郎さんのアクセサリー類をご紹介しています。
https://artbiotop.shop/collections/kakei