水庭とは
アートビオトープに隣接する敷地に、「庭」という思索的で現代的な問題を含んだ、 これまでにないガーデン「水庭(みずにわ)」がオープンしました。 この庭は、自然と寄り添い、折り合いをつけながら変化し、生み出されていく庭です。 時間の経過とともに変化する庭は、自然と身体と対話するための特別なメディテーション空間です。 日頃の喧騒を離れ、心身のあるべき姿を取り戻す場所として、ゆっくりとご体験ください。
見学のご案内
水庭(みずにわ)の見学は事前予約制です。下記のメニューからお選びください。 ご散策の前後には、CAFE KANTANでのひとときもお楽しみいただけます。
山のシューレ
水庭が生まれる背景になった、山の学校「山のシューレ」は、森の中で自然に耳を傾けつつ、哲学、経済学、生物学、文学、デザイン、建築学、音楽、日本学など、これまで人々がつくり上げてきた様々な物ごとについて学び、領域を超えて交差し語り合い、思想を深めあう場です。是非アーカイブをご覧ください。中でも、建築家・石上純也の「水庭」に特化した2018年のトークシリーズ「庭」は読み応え満載です。
建築家・石上純也

1974年神奈川県生まれ。 妹島和世建築設計事務所を経て、2004年、石上純也建築設計事務所設立。日本建築学会賞、第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞など多数受賞。
主なプロジェクトに、2008年神奈川工科大学KAIT工房 (神奈川県)など。主な展覧会に、2008年ヴェネチア・ビエンナーレ第11回国際建築展・日本館代表、2010年「建築のあたらしい大きさ」展(豊田市美術館)、2018年「石上純也 自由な建築」展(パリ・カルティエ現代美術財団)。
2019年「ボタニカルガーデン アートビオトープ水庭」の成果が評価され、平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(美術部門)を受賞。
http://www.jnyi.jp
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もともと牧草地であった敷地は、それ以前は、水田であった。 もっと前は、周辺と同じ雑木林。
この場所の環境的なポテンシャルを最大限呼び起こし、それらを自然界には存在しないような密度と関係性で、 複層的に重ね合わせ、新たな風景を出現させる。
具体的には、新しいホテル棟の計画地である隣地の雑木林の樹木をそのままこの場所に移動させる。 新築工事で伐採される樹木をなんとかこの場所に留まらせる手段である。 また、昔、水田であった時に川から水を引き込むために利用していた枡を使って、 美しい水の流れを再び敷地内に呼び込むことを試みる。 さらに、周囲の森に自生する絨毯のように広がる苔を移植しこの場所に敷き詰める。
樹木、水、苔。 これらの既存の3つの要素が重ね合わされ新しい景色として姿を現す。
既存の林の中で、パズルのピースが組み合わされるように、まるで肩を寄せあうようにひしめき合っていた 樹木の群れを、一つ一つ、その種類と形状を調査し、それぞれのピースがあえて組み合わされないように、 この敷地内に注意深く再配置していく。
そのようにできた各ピース(各樹木)の間に生まれる隙間(余白)に、無数の池(ビオトープ)を計画し、 樹木の間から引き込まれるように注がれる太陽光をそれらの水面に反射させる。 また、それら敷地内に満たされる樹木と池との間を埋めるようにして、青々とした苔を敷き詰めてゆく。
こうして出来上がる新しい風景は、この場所にかつて存在していた環境であるとともに、 未だかつて、出会うことのなかったそれぞれの要素が重ね合わせられることによって生まれる新しい自然である。
人間では、決してつくりだすことのできない自然の中で育まれつくり上げられた要素を、 人間の手によって、自然界には存在することのない関係性で再構成し、新たな自然を生み出す。
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- 2018年度芸術選奨美術部門文部科学大臣新人賞を受賞
- クールジャパンアワード2019を受賞
- 第一回「オベルアワード」を受賞
- グッドデザイン2019「グッドデザイン・ベスト100」に選出

A part of the tour fee is used to maintain Water Garden and to protect the environment.